2サイクルシリンダーの再生
再めっきではなく、スリーブ圧入という方法で修理する
工程の紹介、秘密の部分も多くありますのでご了承ください。

鋳物屋さんに特注したシリコン含有量の
多い特殊鋳鉄素材から、削りだします。
 なぜこんな面倒なことをするんでしょうか?
それは、硬くて強い素材をどうしても使い
ためです、削ってると判るんですが、純正の
スリーブでも、こんなに硬いのは使われて
いません、刃物には、京セラ製のダクタイル
鋳鉄用チップを使うんですが、1個のスリーブ
に、1コーナーを使ってしまうぐらい硬いん
です、丸々一日旋盤を回し続けます。
アルミシリンダー本体は、フライス盤にボーリ
ングヘッドを装着して、削り込んで行きます。
 削りだしたスリーブよりも、百分の数ミリ
小さい内径に仕上げ、シリンダーに熱を加えて
スリーブを圧入します、これで、スリーブが
カッチリと固定され、抜けたり、回ったりしな
くなります、シメシロを大きくしすぎると、落とし
込むときに、スリーブが途中で止まってしまい
どうやっても抜けなくなります。
 圧入の瞬間は、最も気合を入れる工程です。

 左の写真では、まだポートが未加工です、
圧入前にポートを加工しますが、圧入して
からは修正は不可能ですのでどうやって
加工するかは、トップシークレットです。
耐火煉瓦の上で熱を加え圧入後、押し出現象
を防ぐため、油圧プレスで数トンの力を加え
続け、冷えるのを待ちます。
そうして出来上がったのがこの写真です。
ポートのずれは1/10ミリもありません、当然
ですが、ぴったり合っています。
 シリンダー上面のつば部分にも、隙間は
見られません、アルミ部分と一体に成って
いるのがわかると思います。

 ホーニングは油溝を確保したプラトーホーニング
を行っています。

 紹介した作業すべてをKOレーシング内で
行っています、外注したらとんでもない高額
になってしまうのと、仕上がりに満足できる
確立が少ないためです。