とある トライアルマシン用スイングアーム破損を
KOレーシングがどのように修理したかの記録。


 アルミはボーキサイトから作られますが価格の90数パーセント以上は電気代 と言われるぐらいものすごい量の
電力が必要です、簡単に捨てずに修理再利用することが「エコ」につながります。われわれライダーがすぐにでも始められる
エコ です。

破損の拡大写真、ほとんど使わずに
保管していたのに原因不明のひび割れ
、左右とも同じようになっています。

 ベアリングを圧入する部分の寸法
間違いか?硬化する前に作業して
しまい 残留応力が悪さをしたのか?

 使い込んだマシンでも発生しています
中古車などを購入された方は、必ず外して
確認してから、本番での使用をお勧めします
ここが破損すれば、リタイヤ間違い無しです。
ベアリングを抜き取りそのまま溶接しても
強度と寸法制度が出せません。

 そこでA7N01 Φ40ミリの丸棒から、
ベアリングホルダー部分を削りだしたところ
、内径はまだ仕上げません、治具に
合わせるための寸法になっているだけです。
 
スイングアームのように数々のパーツが
組み合わさる物は1個1個の精度を確保
しながら行わないと、最後に大きな
ひずみ ゆがみと成って現れます。 
 
特にこのスイングアームのようにベアリング
ホルダーが分割されている場合、シャフトが
スムーズに通らなくなります。
 これは割れたベアリングホルダー部分を
削り取った様子。

ただ単に削り取れば良いと言うものでは
ありません、新たに削りだしたホルダーの
位置決めにもなりますので、KOオリジナルの
治具にセットした後、慎重に芯出し、
マイクロボーリングヘッドで削り込んでいきます。

 残念ながら治具やマイクロボーリングヘッド
はKOで作業しやすいように改良した
トップシークレット品のためお見せすることが
出来ません。
 溶接直後の様子、溶接専用の治具に
セットしてあらかじめ保存してあるデータ
に基づき溶接、長年スイングアーム造りを
やってきた経験で得た歪みも考慮している
のは言うまでもありませんね。

 これからは熱を加えることもありません
ので この状態で数日間 「枯らし」 
を行い、有る程度硬くなってから ベアリング
の入る部分をボーリング加工します。
数日間「時効硬化」を待った後ベアリング
ホールを精密にボーリング加工、その後
ベアリングを圧入、カラーを入れた後シャフトが
スムーズに左右を貫通するか確認したのが
左の写真。
 当たり前ですが、何も問題なくスーーと
貫通です。
 これでまたこのスイングアームが使えるように
なり、製造に膨大な量の温室効果ガスを排出
するのを抑制できました。
 めでたしめでたし。

参考価格 左右の場合¥3万円ほど
       片側 ¥2万円ほど

ちなみに 新品は¥9万6500円